護身グッズを買おうか迷ったらー法律で考える護身グッズ持ち歩きの合法性

近年様々な犯罪が発生するようになったことに伴い、「防犯への意識」をお持ちの方も増えてきたように感じます。その流れの中で「護身グッズ」と呼ばれる商品もより皆さんの身近な存在になったのでないでしょうか?

しかし、いざ「護身グッズ」を持とうと考えても「法律」に関係するのか気になる方も多いでしょう。

そこで今回は「護身グッズは合法か違法か」というテーマでお話させていただきたいと思います。

1. 護身グッズと法律の関係性

護身グッズ(ここではスタンガン、催眠スプレー、特殊警棒のことなど)を持ち歩く上で気になることは、「持っていても法律的に大丈夫なの?」という点ですよね。

・ネットを見ても、「護身グッズは法律的に違法である」という話がちらほら存在する。

・しかし現実を見てみると、護身グッズを所持している人がたくさんいて、その人たちが警察に捕まったという話も聞いたことがないから合法なのかな?

このように、一体どちらが正解か分からなくなってしまいますよね。

2. 護身グッズに関係する法律

結論から言うと、護身グッズを持ち歩くことは「合法」です。では「護身グッズは違法である」という話をされる方はどの「法律」を根拠にされているのでしょうか?

それはズバリ「軽犯罪法」です。
軽犯罪法の中に「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」という記載があります。

つまり、「理由なく相手に大きな怪我をさせうる器具を所有していた人」を捕まえるという記載ですね。
この記載に「護身グッズ」が当てはまっているということです。

しかし、実際には当てはまっていないです。
法律上の「正当な理由なく」の部分の定義が非常にあやふやで解釈が難しいのですが、ちゃんとした根拠が2つあります。

1つ目は「護身用という正当な理由がある」ということです。
「正当な理由の解釈が非常に難しい」とお話ししましたが、他の例で考えてみると「正当な理由」の定義が少し理解できます。

例えば「ゴルフクラブ」です。ゴルフ好きの方なら誰でも購入して持ち運んでいると思います。
しかし「ゴルフクラブ」で人を殴れば重大な障害を負わせて、最悪死に至らしめることができるぐらい強力な「凶器」です。

しかしこの「ゴルフクラブ」を所有していたからといって「法律違反で逮捕」ということは聞いたことがありません。
「ゴルフをする」という軽犯罪法上の「正当な理由」に当てはまるということです。

他にも、野球バットや調理のための包丁などがそれに当たると思います。

「ゴルフをする」という娯楽の目的でも「正当な理由」になるので、「命を守るため」という防犯の目的も「正当な理由」に含まれないはずがないということです。

2つ目は「殺傷性の有無」です。
軽犯罪法の文章には「他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」という記載があります。ほとんどの護身グッズはこの記載に当てはまらないということです。

護身グッズの代表格である「スタンガン」は相手に衝撃を与えてひるませるだけのグッズです。

「催眠スプレー」も相手を一時的に動けなくさせるだけのグッズで、障害が残る可能性はほぼ皆無です。

「特殊警棒」は単なる殴るための棒なので、武器といえば武器になるかもしれませんが、「野球バットやゴルフクラブ」の域を超えません。

このように、一部を除くほとんどの護身グッズは「他人の生命を害し、人の身体に重大な害を加える」可能性がゼロであるのです。

この2つの理由から「護身グッズは合法である」という結論になるというわけです。

3. 護身グッズの悪用例

先ほど「護身グッズは合法である」という結論を出しましたが、警察の考えは少し異なる場合があります。
なぜなら、「護身グッズが悪用されることがある」という事実を知っているからです。
もちろん「法律違反だから護身グッズを取り締まる」という行動には(今のところ)でていません。

しかし、「護身グッズは合法ですか?」という質問をされた時に「合法である」と言い切れない立場にあるということです。
ここでは簡単に護身グッズが悪用された例を2つご紹介したいと思います。

1つ目の例は2016年から2017年に千葉市で起こった事件です。
この事件で犯人は夜間の路上で女性を「スタンガン」を用いて襲っています。犯人は強制わいせつ罪と強盗致傷罪で捕まりました。

2つ目の例は2009年に埼玉県で起こった事件です。
とあるビル清掃会社の社長さんが犯人に催眠スプレーをかけられた上に暴行を加えられました。

このように護身グッズを悪用するケースも存在しています。護身グッズの悪用は絶対にやめてください!

4. 終わりに

以上で今回のお話はおしまいです。皆さんの防犯対策の参考にしていただけると幸いです。

護身用品を所持していく上で、大切な心構えや警察官に質問した体験談を紹介しています。
護身用品を持ち歩くことをお考えの方は、下記の記事もご覧ください。
https://www.ksp-web.com/jyouhoutisiki/gosinyouhin-kokorogamae.html

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Posted by ksp_weblog