タクシー強盗や乗客トラブルに見たタクシーの安全対策の現実

2017年11月23日

タクシー強盗

皆さんこの画像覚えてますか?

これは、先日埼玉県で発生したタクシー強盗の様子を捉えた車内カメラの画像です。(犯人はまだ捕まっていません。付近の方はご注意を。)

それにしても、感情のない表情の犯人から、左手に持った刃物をつきつけられたタクシードライバーの心境たるや、想像に難くありません。

埼玉県の車載カメラに写った実際のタクシー強盗事件と考察

具体的な事件の内容はこれです。

「悪いけど強盗だ。カネを出してくれ」 埼玉県警がタクシー強盗の画像公開

2017年11月14日

埼玉県杉戸町で14日夕、男がタクシー運転手を脅して現金を奪い、さらに乗車料金を踏み倒す強盗事件があり、埼玉県警は16日、タクシーのドライブレコーダーに写った容疑者とみられる男の画像を公開した。

県警によると、14日午後4時5分ごろ、杉戸町堤根の町道で、男が男性タクシー運転手(59)に包丁のようなものを突きつけ、「悪いけど強盗だ。カネを出してくれ」などと脅迫、現金約3万円を奪ったうえ、乗車料金約7千円を支払わず逃走した。

男は30~40代で身長約170センチ。青いチェック柄のシャツに青いジーパン姿だった。

この表現が良いのかどうかわかりませんが、たった3万円ほどの現金のために犯行は行われました。

刃物を持つ犯人は、刃物を用意している以上は計画的なのだろうし、タクシーを襲えば多額の現金を強奪できると考えたとも思えません。

つまりわずかな現金のためにタクシーを襲う理由はただひとつ。「襲いやすく成功しやすいから」です。

当店でもタクシー強盗については、KSPでも以下のように再三に渡り注意を喚起してきました。

実際に過去にはわずかな現金のためにタクシードライバーの命が奪われる事件も起こっています。

今回の埼玉県のタクシー強盗事件は、犯人にとって車内カメラは誤算だったと思われます。しかし、このように事件のたびに車内カメラが公開されると、犯人側が学習し、覆面や変装など対策を打ってくる恐れがあります。

決して許されないことですが、「タクシーは襲いやすい」というのは冷静に考えればまぎれもない事実なのです。

タクシー車内で暴れる乗客とタクシードライバーの安全性の問題

以前はこんな事件も記憶に新しいところです。

タクシー車内で暴力

タクシー乗客が「道が違う」と大暴れ 防護板壊す

2017年11月8日

タクシーの車内で暴れる男の一部始終をドライブレコーダーが捉えていました。

男は6日夜、札幌市すすきのからタクシーに乗り込み、目的地までの行き方が違うと車内で暴れ出しました。その後、男は990円の料金を払わずタクシーを降り、車に向かってスマートフォンを投げ付けてそのまま逃走しました。

被害に遭った運転手:「びっくりです。暴れてどうにもならない。とにかく蹴るんです」

タクシー会社によりますと、防護板などが壊されて被害額は約14万円に上るということです。会社は8日にも警察に被害届を出すとしています。

この事件は、テレビでは繰り返し放映されていました。

酔った乗客がタクシーの道順に因縁をつけ、暴れ出すというものです。

激高した乗客が暴れると、タクシードライバーだけではどうしようもないこと、狭い密室にいることがどれほど危険なのかということを痛感させられる事件でした(この犯人は後日逮捕されました)。

タクシー乗客のトラブルの場合、相手は金銭目当てとは限りません。この事件のように酔って激高したり、薬物中毒者や精神疾患者が暴れるということも起こりえることです。

この事件では、タクシードライバーの背後にある防犯パネルは、犯人の蹴りによって粉々に割れてしまっていました。タクシードライバーの方は、生きた心地がしなかったのではないかと思います。怪我がなくてなによりでした。

タクシーの防犯パネルの効果は大いに疑問

これらのタクシー強盗を見て、疑問に感じたことがあります。

それは

タクシーの防犯パネルって効果あるの?

です。

だって、最初の埼玉県の事件では、防犯パネルがあるにも関わらず、何の抵抗もなく犯人は刃物をタクシードライバーにつきつけています。刃物強盗に対して防犯パネルが何の役にもたっていません。

暴れる乗客の事件では、普通の体格の男性が酔った勢いで蹴っただけで、防犯パネルは割れて真っ二つです。その後は、タクシードライバーの背後にはもう、ドライバーを守ってくれるものはありません。こんなに簡単に割れる防犯パネルが役に立つのでしょうか。

そして、割れたパネルの損害を犯人に求めるというニュースもあり、その金額は14万円という高額。

こんなに役に立たない防犯パネルがそんなに高額とは。。。驚きました。

そして、防犯パネル以外に犯人に対抗する手段がないタクシードライバーの危険リスクが、あらためて浮き彫りとなりました。

タクシードライバーに最後の手段を

当店でもタクシー強盗については繰り返し注意を喚起してきました。

  • タクシーは乗客を選べません。
  • タクシーは深夜でも営業しなければなりません。
  • タクシーは必ず現金があり、強盗の格好の標的です。
  • タクシーは強盗犯の犯行にとって都合の良い場所に向かわされる危険が付きまといます。
  • タクシーはドライバーは事件に巻き込まれたとき、自らがたった一人で対処する必要があります。

これだけの条件が揃っているのに、タクシーの防犯体制はあまりにも脆弱です。

タクシードライバーがもし、万一、命の危険を感じたとき、最後に身を守る手段はなくて良いのでしょうか?

犯人はありったけの準備をして犯行に臨むものです。

それに対してタクシードライバーはあまりにも無防備です。

業務の危険性と、現実の防犯対策が全くつり合っていません。

命の危機を感じたとき、タクシーを急停車させ、すぐに車外に逃げるくらいの安全行動は日頃から訓練し、徹底してもいいはずです。

車外に逃げることができない場合や、車外に逃げても犯人に追われる場合もあるでしょう。そういう可能性を無視して、全くの無防備で良いはずがありません。

最後の最後に、最終手段として、何か反撃の手段を持たないとなりません。

タクシードライバー殺害事件のような悲しい事件は、もう二度と起きないとは限らないのです。

当店でも個人タクシーのドライバーを中心に、最終的な護身目的として護身用品を購入される方が増えてきています。

しかし、増えているといってもまだまだタクシーには全くといっていいほど浸透していないのが現状です。

普段の激務とリスクに耐え、乗客のために尽力しているタクシードライバーの方々が事件に巻き込まれるたびに、護身用品専門家として胸が痛みます。

タクシードライバーの方は業務上の危険に対して、その対抗手段をもう一度よく考え、自分自身を守る事ができるのか、改めて見直してみる事を強くお勧めします。