気にしてますか? 熊よけスプレーホルダーの蓋の種類と開閉音の違い

ボタン式の熊よけスプレーホルダー

熊よけスプレーは山林の活動では安全のため無くてはならない必須アイテムです。常に身に付けておく必要があるため、専用ホルダーに入れて持ち歩いている人も多いのではないでしょうか。

この専用ホルダーは、各熊よけスプレーメーカーや販売店が、個々に組み合わせて販売されていますが、これらには種類によって無視できない大きな違いがあります。

それは蓋の開閉音です。

今回は、ホルダーの蓋の造りの違いと、その違いがもたらす開閉音の違いについて解説します。

蓋の固定方法は2種類ある

熊よけスプレーのホルダーは、熊よけスプレーを収納してベルトやザックなどに固定できるケースです。熊よけスプレーは万が一の時に素早く取り出せるように、普通の荷物とは別にして専用ホルダーを使用し、腰などに装備するのが一般的です。

この時に、普段の活動で熊よけスプレーが脱落したり、異物や手が熊よけスプレーのノズルやボタン部分に接触しないように、ホルダーには蓋が付いています。

ホルダーの蓋の固定方法は大きく分けて次の通り2種類存在します。

  • マジックテープ式
  • ボタン式

蓋の固定方法の違いは、実際には開閉音の違いとして大きく現れてきます。

詳しく見ていきましょう。

マジックテープ式

▲特定の製品の画像だと語弊があるのでマジックテープの画像を掲載

蓋の裏とホルダーの本体にマジックテープが縫い付けてあり、マジックテープで蓋が固定されます。熊よけスプレーの多少のサイズ違いも許容されホルダーの共通化が楽だからなのか、ほとんどの熊よけスプレーホルダーがマジックテープ式を採用しています。

ボタン式

一部の熊よけスプレーホルダーが採用するボタン式の蓋。この方式はほとんど見かけることがありません。

※熊よけスプレーの付属ホルダーにはポシェットのような布袋をホルダーと称しているものがありますが、これはホルダーとしての役割を満たさない単なる保管用袋なので今回は触れません。

マジックテープ式とボタン式の開閉音の違い

熊よけスプレーのホルダーを開閉音の違いという視点から考えてみると、マジックテープ式とボタン式の違いは歴然です。

マジックテープ式

閉める時は静かですが、開ける時にバリバリと音がします。

もし望まずとも熊と至近距離で対峙していた場合、ぎりぎりの緊張状態の中、なんとか均衡を維持している、そんな状況を想像してください。そんな中で熊よけスプレーを用意するには、マジックテープをバリバリと音を立てながらホルダーの蓋を開けなければなりません。その突然の異音が、両者の緊張状態を破綻させ、または熊が怯えて、襲ってくるきっかけになるかもしれません。

また、熊が近くにいるが、まがこちらに気がついていないといった状況も考えられます。こちらは熊に気がつかれないようにやり過ごすのが一番ですが、しかし念のため熊よけスプレーも構えておくべきです。しかし、熊よけスプレーをホルダーから取り出したいが、蓋を開ける時にマジックテープのバリバリ音がすると熊に気がつかれてしまう恐れがあります。こちらに気がついていない熊にわざわざこちらの存在を知らせる行為は、当然ながら望むところではありません。

このように、メーカーが安易に採用しているマジックテープですが、その開閉音のせいで現実的には熊から襲われるリスクが高まってしまいます。

ボタン式

蓋がボタン式のホルダーは、蓋の開閉時にほとんど音がしません。

音がしなため、熊と対峙していた場合にも熊を音で過度に刺激することがありません。同様に、熊がこちらに気がついていないという場合でも、音で刺激することなく熊よけスプレーを静かに取り出して、万一に備えることができます。

熊よけスプレーのホルダーの蓋はボタン式が最適

いざ襲ってくると動きがとても速い熊なので、こちらに突進を始める前に熊よけスプレーを構えているのが理想的です。

熊が突進を始めてから慌てて熊よけスプレーをホルダーから取り出していると、そのタイムラグが命取りになりかねません。

こういった理由から、音で熊を刺激せずに熊よけスプレーを取り出すことが出来るボタン式蓋のホルダーは、熊よけスプレーに最適のホルダーと言えます。

マジックテープ式はボタンへの換装も有りかも

手持ちの熊よけスプレーホルダーがマジックテープ式だからといって悲観する必要はないかもしれません。

マジックテープ式の蓋やホルダー本体は、ほとんどの場合、ナイロンの生地にマジックテープの素材が糸で縫い付けられています。

このような場合には、思い切ってマジックテープを取り去り、ボタン式への換装にチャレンジしてみるのも手かもしれません。

ボタンは手芸店やネット通販で(例えばamazonなどで)数百円で入手できます。ネットなら「ホック 打ち具」などで検索すれば、ボタンのオス、メスと固定に使用する打ち具がセットで1,000円程度からあります。あとは金槌があればOK。アウトドア好きな方なら、こういった道具は既に道具箱にあるかもしれませんね。あとはチャレンジのみ。腕の見せ所かもしれません。

音を軽視するべからず

自然界、野生の世界では敵や獲物の認識するための感覚は主に匂いと音です。熊も例外ではありません。

そういった特性を考えると、緊張状態にある熊の目の前で突然マジックテープのバリバリ音を響かせることが、どれほど危険なのかわかると思います。

熊よけスプレーは、携行時になくてはならないホルダーについても、安全第一でリスクを最小限にできるものを選びたいものです。