警察への捜査協力(カプサイシン編)

2016年1月21日

催涙スプレーのカプサイシン

先日警察から問い合わせがありました。

都道府県は。。伏せた方がいいかもしれませんね。中部地方の警察署です。

事件の具体的な内容も公開できませんが(捜査中ですし)、その捜査の過程で専門家の意見が必要になったので、当店に問い合わせをしたとのことでした。

カプサイシンが検出されれば、使用されたのが催涙スプレーだと断定できるのか。これを、今回の問い合わせに対する答えとともに紹介します。

カプサイシン=催涙スプレー ではない

今回の警察からの質問の内容は、要約すると

被害者が何が液体をかけられた。警察の専門機関で分析したらカプサイシンが検出された。カプサイシンが検出されたということで、使用されたものが催涙スプレーだと断定していいですか?

というものです。

残念ながら、答えはNOです。

なぜなら、カプサイシンは唐辛子の辛み成分なので、タバスコやラー油にも入っているからです。

カプサイシン

カプサイシン (capsaicin) はアルカロイドのうちカプサイシノイドと呼ばれる化合物のひとつ。部分構造にバニリン由来のバニリル基を持つために、バニロイド類にも属す。唐辛子の辛味をもたらす主成分で、辛味の指標であるスコヴィル値における基準物質。化合物名はトウガラシ属の学名Capsicum に因む。

https://ja.wikipedia.org/wiki/カプサイシンより

タバスコを水で溶き、霧吹きで吹きかけたり水鉄砲で噴射すれば、被害者からは今回同様にカプサイシンが検出されるはずです。

答えを聞いた刑事さんは「なるほどそうですね。わかりました。」と、理解してくれたようでした。

警察の方の思考は「カプサイシン=催涙スプレー」となってしまっている事は理解できなくもありません。でも、冷静に正しく捜査を進めるなら、世の中にはカプサイシンを含んだ食品や調味料が多く存在することも除外すべきではありません。激辛のタバスコソースは、催涙スプレーよりはるかに入手しやすく、証拠隠滅も簡単でしょう。

最後に

今回警察が、固定観念にとらわれず専門家に意見を求めた事実については評価できます。

催涙スプレーが使用されたかもしれないし、無関係かもしれない今回の事件ですが、客観的で適正な捜査の実施と、一日も早い犯人検挙と事件の解決を願ってやみません。

当店は、警察への捜査に関する技術的なサポートなどを積極的に行っています。護身用品専門家として、知りうる知識や経験を活かし社会のお役に立てれば幸いです。警察関係者の方など、ご必要であれば遠慮なくご相談ください。

護身用品専門店KSP

ちなみに。。警察関係者へのお願い

たまに深夜に問い合わせをしてくる警察官(ほぼ100%刑事さん)がいます。確かにKSPは24時間お電話を受け付けていますが、これは当店のお客様のためのサービスです。警察への捜査協力は惜しみませんが、当店の夜間対応用電話回線は数が限られており、時間外のお電話は専用電話回線が使用中になってしまうため、本当に助けが必要な急を要するお客様の対応ができなくなります。警察の方は営業時間中の10時〜18時の時間帯にお問い合わせください(^_^;)