催涙スプレーは試し撃ちをしてください

催涙スプレーは試し撃ちをしてください

なんだかネットで見ていたら「催涙スプレーの試し撃ちは控えてください」みたいな注意書きを見かけました。正直驚きました。なんてこどだ!(どこのサイトで見たのかは伏せておきます。)

専門家の視点で言うと、正解は正反対です。

催涙スプレーを買ったら必ず試し撃ちをする。

これが正解です。皆さん気を付けてください。

試し撃ちが必要な理由

試し撃ちが必要な理由は2つあります。

  • 不良品の確認
  • 噴射のイメージを体感

両方とも確実に護身を成功させるためにとても大切なことです。

不良品の確認

催涙スプレーとはいえ工業製品である以上、初期不良ゼロはあり得ません。必ず不良品である可能性があります。

当店では「品質の最後の砦 KSPの徹底した護身用品の品質検査」でも語った通り、商品の品質検査に情熱を傾け、不良品の撲滅を目指しています。世の中には不良品を販売しても大きな問題にならない業界もありますが、護身用品は人の生死に関わる製品なので不良品はあってはならないと考えているからです。

ですから当店は、スタンガンや特殊警棒といった動作チェックできる製品は、全て徹底的にチェックをして出荷しています。

こういう中において、不良品のチェックが不可能な場合があります。

それが催涙スプレーの噴射の可否です。

催涙スプレーは内容量が限られ、補充も出来ません。品質チェックと称して販売前に噴射すれば、内容量が減り、仕様通りの内容量で販売が出来ません。

こういった理由で、催涙スプレーの噴射の可否は残念ながら販売時にチェックできていない状態です。

つまり、催涙スプレーの最終的な噴射の可否の確認はお客様自身が行っていただく必要があります。

催涙スプレーが正常に噴射できる正常品なのか、これを確認するというのが理由の1点目です。

噴射のイメージを体感

催涙スプレーは機種によって噴射の様子に違いがあり、操作方法も違います。

どのような操作で噴射できるのか?ボタンの固さはどれくらいなのか?どのように催涙剤が噴射されるのか?催涙剤はどれくらいの距離まで届くのか?どれくらい風の影響を受けるのか?

実際の感覚を体感しておくことは、万が一使用する際の失敗を減らすことに繋がりますし、日頃の安心感にもなります。

催涙スプレーは限られた量(噴射時間)で確実に相手を撃退しなければならず、失敗は許されません。

ご自分が所有している催涙スプレーの能力を体感しておく。これが理由の2点目です。

なぜ控えてくださいなのか?

催涙スプレーの試し撃ちには、上記のように護身を成功させるための準備として必須です。専門家なら考えずともわかることです。

それなのに、なぜ試し撃ちを禁じるようなことを言うのでしょうか。

「控えてください」は「しないでください」ではないという反論も聞こえそうですが、それは違います。「控える」と「しない」は言葉の意味としては確かに違うものです。でも、それがホームページや取扱説明書に明記されていると、ユーザーからすると同意語です。控えろと書いてあったらしませんよね。私ならしません。

販売側からの目線で考えると、その理由はおよそ見当がつきます。恐らく内容量が少なくて、試し撃ちをするとすぐ空になる可能性がある。そして、すぐ無くなってしまったじゃないかとクレームの原因になる。大方こういった理由なのではないでしょうか。

要は、試し撃ちは控えてくださいという言葉は販売者目線なんですよね。お客様の側に立っていない。クレームを避けたい、損を極力抑えたい、少しでも儲けたい、そういった気持ちが見え隠れするわけです。

試し撃ち?それは必要です。催涙スプレーが正常に稼働するのか、それとも不良品なのか、しっかりと確認しておいてください。そうしないと万が一の時に噴射できなければ大変危険です。こう考えることがお客様の立場に立った護身用品専門店の考え方のはずです。

試し撃ちの方法

催涙スプレーは最終的にお客様の手で、正常品か確認するためにも試し撃ちをしてください。

しかし、催涙スプレーは内容量や噴射時間が限られています。また、人間に対して遠距離に大量噴射するため、日用品のスプレー製品と比べて噴射時間は短くなっています。やたらに試し撃ちをすると残量が減ってしまい、有事の際に十分に噴射できない可能性もあります。

そこで試し撃ちは以下の通りに行ってください。

場所

最低でも周囲100mに人がいない屋外で、風のない日に行ってください。広い河川敷や海岸がベストです。

催涙剤は非常に強力な刺激物です(当店の催涙スプレーに限っての話です)。自宅や市街地での試し撃ちはしないでください。異臭騒ぎ等に発展する恐れがあります。

目標

何らかの目標を定め、2mほど離れた距離から噴射してください。コンクリート壁や木の幹が良いでしょう。目標を人間と見立て、顔の高さめがけて噴射してください。

催涙剤はオレンジ色なので命中すると跡が残りますが、これは数日で消えてしまうので心配はいりません。

噴射時間

試し撃ちの噴射時間は0.5秒以下を目標にしてください。感覚としては一瞬で十分です。そして、狙いに対してどのように飛んだのか、実践のときにはどのようにすれば命中させられるかといった感覚をつかんでください。

試し撃ちの後

試し撃ちで正常に噴射されれば商品の不良はありません。安心してください。

試し撃ちの後は催涙スプレーのノズル部分に催涙剤が付着し残る可能性があります。付着していた場合にはティッシュペーパーなどで拭き取ってください。水洗いの必要はありません。

試し撃ちの結果、催涙スプレーの残量は時間にしておよそ0.5秒分ほど減ります。減ったから損をしたと考えず、確実に身を守るため、正常な催涙スプレーを所有するために必要な確認なんだということを理解してください。

最後に

今回はたまたまネットで見かけた「催涙スプレーの試し撃ちは控えてください」という言葉があまりにもショックだったので、催涙スプレーの試し撃ちについて詳しく説明しました。

危険を回避したいお客様に確実な製品を届けなければならない、製品の不良によってお客様が危険に陥ることは許されない、そういう思いは護身用品の販売者であれば当然のことです。クレームが怖いとか、損しなくないとか、儲けたいとかいう理由でないがしろにされてはなりません。

だからこそショックを受けた訳ですが。。

遊びじゃなく、本当に身を守るために催涙スプレーを購入する方は、必ず試し撃ちをするようにしてください。