刺股を使った防犯訓練がヒドすぎる

2018年6月15日

ヒドすぎる防犯訓練

今朝何気なくテレビを見ていたら、どこかの大学が今回の新幹線3人死傷事件を受け、防犯訓練を実施したというニュースが流れていました。

ちょうど現在、当店では新幹線3人死傷事件の影響で注文が殺到していることもあり、興味を持ってそのニュースを見ました。

場所は大学の正門から少し入った広い場所。犯人役の人が1人で中央に立っています。そして、警察官が2人と職員らしき人が3人ほど、全員が刺股を持ってその犯人役の人を確保するという訓練の模様。

1対5かあ、すごいな。でも背後に壁も何もない場所で、刺股を使ってどうやって確保するのだろう?警察も参加する訓練だから本格的な逮捕術が見られるな。と期待を込めて見てました。

刺股は先端がUの字になっている長い棒のような防犯器具です。基本的に相手の胴体や手足をUの字の部分を使って押さえつけるのですが、押さえつけるためには犯人の背後に壁やクルマなどの押さえつけを受け止める物体が必要です。

刺股
当店が過去販売していた刺股

ところが今回の訓練は、犯人は広場の真ん中にいます。さて、刺股を使ってどうやって押さえつけるんだろう。興味津々。

そして訓練が始まりました。

刺股を持った5人ほどが犯人の周りを取り囲みます。その間、犯人はただ棒立ちで確保待ち。えええ、まさかの展開。

そして警察官の2人が刺股を持って「ヤーーー!」みたいな声をあげながら犯人に向かって進みました。

お?たった2本の刺股で、壁もなにもない場所で押さえ込むのか、これは見物だ。

警察官の一人が刺股を前に差し出し、犯人の腹部を押す。

犯人は「ワーーー!」と叫び、その場に倒れ込んでギブアップ。

無事に犯人逮捕という感じで訓練終了。

え。。。。。

そこから大学の訓練の担当者?のコメントになり、

「今回の新幹線3人死傷事件を受け、私共の大学はしっかりと防犯の訓練を実施したので安心です」

もう絶句してしまいました。

今回のニュースで放送された防犯訓練は茶番もいいところでした。

周囲を囲まれるまで立ったまま待ってる犯人。

ただ確保されるのをおとなしく待ってる犯人なんているのでしょうか。

刺股で押されるまでおとなしく待ってる犯人。

襲ってくる、逃げるなど犯人もじっとしていないのが現実でしょう。

押すだけで倒れこみギブアップする犯人。

刺股は先端の形状を利用して、相手を壁などに押さえ込む道具です。地面で確保するなら真上から地面に対して刺股を押し当てるのが正解です。しかも腹部をポンと押しただけで地面に転がり苦しそうにもがく犯人さん。。

完璧な訓練だと自画自賛する関係者

これでもう安心です。のような感じでコメントしていましたが、本気で言っているのでしょうか。

訓練をする場合、犯人は悪意を持って侵入してきていることを前提とするのは常識です。特に今回の新幹線3人死傷事件を受けてということであれば、なおさら想定される犯人は逮捕や厳罰を恐れない狂気じみた犯人像にするべきでしょう。おとなしく動かない犯人役を相手にして、訓練と言えるのでしょうか?

さらに、刺股でポンと押されるだけで倒れ込み苦痛で立ち上がれないような演技。訓練の台本通りなのでしょうが、現実とかけ離れ過ぎています。

本気で抵抗する犯人を演じきれないのなら、代わりに私が犯人役をしましょうか?いやほんと。

このような茶番の訓練を、警察も参加して行うことに、警察の現実感の無さと形式通りの訓練で済ませようとする事なかれ主義を感じます。ああ、やっぱりね、という感じです。

最後の自画自賛の関係者コメントは、もう完全に大学のPRですね。私たちの大学は時事の事件に素早く対応したぞと。茶番に気がつかないのか、茶番でも視聴者にはわからないだろうと甘く見ているのか。警察も同じです。訓練に警官まで派遣しておいてこの茶番劇。警察もこれは防犯活動に協力してるっていうPRでしょう。

今回の茶番劇と警察を含めた大学側の対応に感じたのは、これは結局のところ、新幹線3人死傷事件を踏まえるどころか、究極の他人事としてそれぞれが単なるPRをしたに過ぎないということ。

これを放送するテレビ局だってどうかと思います。全く非現実的な訓練だということは撮影しててわかっただろうに。

訓練は可能な限り現実に近づけないと意味がありません。殺人を犯し逮捕も死刑も恐れないような凶悪な犯人を想定するなら、犯人役だって全力で暴れ、抵抗しないと意味がありません。

こんなことわざわざ言わなくたってわかりますよね。

今回の形だけで済ませる防犯訓練。

訓練をしたことをテレビでアピールすることには成功したのでしょうが、実は究極の無責任なのかもしれないと思ったのは私だけでしょうか。。

新幹線3人死傷事件では皆さんがそれぞれ思うところがあったと思います。

もし何かに備えたり、訓練をしようと思うなら、現実をしっかりと想定してよく考えましょう。